● この分野では“石田ゆうすけ”という大きな前例がすでにあって,これを超えるのは相当以上に難しいと思う。
ネットで実況中継しながら自転車で世界を回っている人たちのブログを見ても,率直に申しあげて,石田さんの『行かずに死ねるか!』にはるかに及ばない。石田さんに比べると,身の上話をしているようなものだ。
● 石田さんの面白さは,人との距離を詰めるのが巧いことからきている。人との間に壁をつくらない。持って生まれた性格なのだろう。
それが彼の最大の武器で,その武器を存分に駆使して,現地人との交流をはじめ,カヌーで川を下ったり,遺跡に心を奪われたりする。自身の体験と感性で勝負できる。
しかも急いでいない。たっぷり時間をかけている。
それをいったんは冷やして書いている。さらにあの文章力が加わるわけだ。
● 同じことをしてもダメだ。二番煎じにしかならない。そのうえ,その質量が先行業績に及ばないのでは話にならない。
しかし。どこかに切り口はないものか。
● 何番煎じであろうと,自転車で世界一周をするってのは,誰にでもできることではない。が,それだけで注目される時期はたぶん過ぎている。