2018年5月10日木曜日

2018.05.10 烏山(滝~下境~小木須)~茂木

● とっころが。正午前に雨があがったじゃありませんか。あがったと思ったら,晴れ間が出てきた。神,我を見捨てたまわず。サンキュー,神様。だから,ぼく,神様って大好きさ。
 朝食を充分すぎるほどに食べていたので,昼食は抜いて,午後1時に出発。予定のコースを走ってくることにした。

南那須のバブル遺跡 マンション
● まずは烏山を目指すんだけど,大金トンネルは避けたいので,田野倉から南大和久に出て,大金台団地の坂を登った。
 途中,南那須のバブル遺跡がある。マンションだろうか。こんなものをここに造っても,住む人がいるとは今は誰も思わないだろうが,バブル期にはそうじゃなかったんだね。造れば売れると思ったんだろう。土地(区分所有権も)は持ってれば必ず値上がりするものだった。
 どうするんだろ,これ。今でも住んでる人が少しはいるらしいのだが。

南那須のバブル遺跡 教会
● 登れば降り。降ったところは月次(つきなみ)。ここから滝に出る。
 龍門の滝を見ていくことにする。午前中までの雨で水量も増しているだろうから,けっこう迫力があるだろう。
 いや,なかなかのものですよね。ふるさと民芸館(何でこんなものを造ったのかとは言うまい)には龍門の滝が見えるところに,木製のベンチがいくつか設えられている。
龍門の滝
 今日はちょっと寒いけれども,夏にここに来て,滝の音を聞きながら本を読むといいかも。読書が進むだろう。木立もあるから日が直接射し込むこともないだろう。

● もうひとつ,太平寺。宗派は天台宗。山門(仁王門)で睨みを利かす仁王像が印象に残る。
 相当に立派な構えなのに,長く無住の寺だった。今はどうなんだろう。最近建てたと思われる庫裡があったけど,鍵は閉まっていた。
 蛇姫の墓もある。墓は見ても面白いものではないし,ここも何度が来ているので,今回はパス。

● 滝から野上を経て,下野大橋で那珂川を渡って,下境へ。
 下境の集落に入る。このあたり,かつてはしばしば洪水の被害に見舞われた。那珂川が蛇行しているのと,少し上流で荒川が合流するんだから,被害が出やすい地形だ。
 河川改修の功あって,今はまず被害の話は聞かなくなった。河川改修で魚がいなくなったという話をかつては聞いたものだ。魚道など作らなくてもいずれ魚は戻ってくる(戻ってこない?)。
太平寺本堂
 申しわけないけれども,洪水被害の惨状は経験した者でなければわかるまい。

● この集落にはメジャーな(?)神社がふたつある。稲積神社と解石(とげし)神社だ。稲積神社は田んぼの中にある(今回は立ち寄らなかった)。明らかに農業神。豊作を祈願するために古の住民が拵えたものだろう。
太平寺山門(仁王門)
 幼少のみぎり,ここで“ささら”なるものを見たことがある。お神楽のようなものだったか,踊りだったか,記憶はまったく朧だ。
 那須烏山市のサイトを見ると,“ささら獅子舞”が市指定の無形文化財になっているようだ。ぼくが見たのもこれだろう。獅子舞だったのだ。

解石神社
● 解石神社は解石山(地元ではトゲッシャンと呼んでいたような)の麓にある。山の中腹に奥宮があって,二度ほど行ってみたことがある。
 今回も行ってみることにした。この山,斜度がけっこうきつい。大谷石で階段が作ってあって,手すりもあるんだけど,その手すりも途中からなくなる。この階段を登っていこうとはしない方がいい。階段を挟んでジグザクに登った方がよろしかろうと存ずる。

● 奥宮は中腹にあって,さほど登らなくても着いた記憶がある。が,今回はなかなか到着しない。息を切らせながら登って行った。いくらなんでも来すぎている。見落としたのだろう。戻ってみることにした。のだが,やはり見あたらなかった。
 以前は“さほど登らない”と感じたものが,今は“いくらなんでも来すぎている”と思ってもまだ着いていないようになったんだろうか。いやだ,いやだ,年は取りたくない。
 というわけで,奥宮には行くことができなかった。

● 解石神社は修験道が由来だろう。稲積神社とはまったくの別物だ。
 そのまったくの別物を,神社という同じ範疇で括ってしまう。日本人のいい加減さというか大雑把さというか,多様なるものを一括りにする感覚は,とても好ましいものとしてぼくには映る。
 違いに注目して細かくすることはバカでもできる。括るには知性を要する。

● 解石神社に着いて,写真を撮ろうとしたところで,スマホがフリーズした。こういう偶然があると,解石の神様が・・・・・・と考えたくなる。
 しかし,だ。スマホがフリーズした原因をどう推測しようとかまわないけれど,“神様が・・・・・・”という発想だけはダメだ。そんなことのあるわけがない。

● 単なる偶然を偶然にしておけなくて,ストーリーを与えたくなる癖が,人間の脳にはあるらしい。その方が収まりがよくなって,受けとめやすくなるからだろう。
 神様を持ちだすと,どんなことでもストーリーとして完結させることができる。何せ神様なんだから,対応できない状況はないのだ。だから,ダメだ。

● もし擬人的な神様を措定するとしても,せっかく自分を訪ねてくれた人に,スマホをスリーズさせるようなマネをするとは,神様としてすこぶる未熟ではないか。
 修行し直してこい,と言いたくならないか。そんな神様はいないのだ。

● 解石神社の前の林道をそのまま進んで,小木須に出ることにしている。今回の行程は車で最低一回は走っている。未知ではない。
 が,ここだけは初めて走る道だ。どんなところなのか。楽しみだ。

● 峠を越えなければならないことはわかっている。軽自動車でもすれ違うのは難しいほどの道幅だ。だから車はまず通らない。快適な峠道だ。
 充分すぎる既視感があった。ぼくも八溝で育っているので。子供の頃,実家の近くの山道を歩くと,こんな感じの風景と空気が展開した。その頃の自分には小さな探検であったな。

● 勾配もさほどではない。が,普通の自転車乗りにとっては“さほどではない”ということであって,どうもぼくは坂道に極端に弱いらしい。ギア比を最大にして,登っていったんだけど,ついにギブアップ。足を着いてしまった。のみならず,自転車を押して歩いてしまった。
 この程度の坂をロードで登れないとは,これいかに。誰にも見られなかったのは幸いというべきだろう。

● 降りは一気。降りきったところが小木須の集落。宝蔵寺という名刹(?)を横目に見て,そのまま走った。
 ここからも降りになる。木須川に沿って走るわけで,その木須川が那珂川に向かって下っているのだから。というわけで,小木須集落を抜けるのもあっという間だった。

● 先日走った馬頭の大内に比べても山あい感が強い。大内は伸びやかで開放的な景観だったのだが,ここはチマチマとしている。
 地形の違いの然らしめるところで,両側が山。その間の平地幅が狭いためだ。

● 茂木町に入った。河又地区。十字路になっている。大木須からの県道(牧野大沢線)とぼくが走ってきた県道(山内上境線)が交差するのだ。
 道路地図をコピーしたものに,自分が走る予定のコースを赤鉛筆でなぞっている。その地図を見てコースを確認した。その結果,直進するはずのところを右折した。現在地を取り違えていたからだ。ナンタルチア!

● まぁ,別段困ることはない。コースの選定にこれといった理由があるわけでもないのでね。
 で,そこから先は牧野大沢線をさらに降ることになった。主には入郷という山間部を走ることになる。

● 道路際の斜面に家がある。そこで爺さまが仕事をしている。傍らで幼児が遊んでいる。その子がぼくに声をかけてきた。おぉーい,どこ行くのぉ,とでも言ってるんだろうか。
 こちらとしては,右手をハンドルから離して,彼に向かって手を振るくらいのことしかできないわけだが。

● 小深地区をかすめて県道芳賀茂木線に出た。牧野大沢線はここで終わる。走ってみたいところもここで終わった。ここから先は帰途といっていい。その帰途は芳賀茂木線をまっすぐたどるだけ。
 ところが。ここでも左に曲がってしまった。ここは地図を確認しなかったので,想定外の道路を走っていることに気がつかない(バカですな)。

● しばらく行くと,「木造馬頭観音」という案内板があった。見ていくか。ガラス戸越しに憤怒のお顔を拝し奉ることができた。
馬頭観音がおわします
 ここで地図を確認。道を間違えたことに気がついた。この観音像があるところは下小井戸。だいぶ茂木市街地に近づいていることになる。茂木市街を通って帰ってもいいんだけど,ここは引き返すことにした。

● 芳賀茂木線を行くと,牧野(まぎの),大瀬,烏合田(うごうだ),町田,千本(せんぼ)を通ることになる。河又や入郷から来ると,だいぶ拓けたところに映る。平地が増える。米を作付けする面積が多くなる。その分,養える人口が増える。
 今はこの違いはあまり関係ない。道路と車がいともたやすく乗り越える。が,大昔はさぞや。

● 小さなアップダウンが続く。那珂川から遠ざかるわけだから,降り一方ではない。これがやけに堪える。千本では坂の途中でヘタりこんでしまった。
 う~む,これじゃブルベなんてとても無理だわ。

● 千本を抜けると市貝町。平地の町だ。視界を遮るものがない。広々する。県道杉山石末線に入ると,半分帰ってきたような気分になった。
 このあともアップダウンはあるんだけど,峠越えではない。丘を越えて行こうよ的な。でも,丘越えもけっこう堪えるんだわ。
 疲れてくると周辺視野が狭くなる。つまり,下を向いてしまうから。ここ,気をつけないといけないね。

加茂神社
● 高根沢でも南東部はぼくにはほぼ未知。柏崎とか桑窪あたり。「元気あっぷむら」の先に行くことはまずないから。
 県道沿いに加茂神社があった。周辺を「梵天公園」として整備しているようだ。寄ってみた。参道は雑草が繁り放題で歩けない。公園としてここを使う人もあまりいないようだ。年に一度のお祭りの前には綺麗になるんだろうけど。

● 明るいうちに帰宅できた。スマホのGPSロガーアプリを見ると,走行距離は55㎞。いくら何でももっと走ったと思う。
 小木須から茂木に入ったあたりでアプリがダウンしたようだ。そこから自宅までは直線になってしまっている。解石神社のフリーズのときは,うまくつながったんだけどね。

● 今週に入ってから低温続きで,ぼくの仕事先でも風邪を引き込んで休んでる人がいる。ぼくも,昨日からイヤな咳がでていたのだ。
 たいしたことはないと思ったので出かけたわけなんだけど(食欲はあるし),家に着いたら寒気がするのだ。ひょっとすると微熱があったかも。
 解石神社の奥宮が遠かったのも,小木須への峠越えで足を着いてしまったのも,地図の見方を誤ったのも,加齢の問題ではなかったかもしれない。