このあたりは田んぼが地域面積の大半を占める米どころだ。暑くなる前にひと仕事終えたいわけだろう。朝から農作業をしているお父さんが何人もいる。雑草を処理したり,農薬をまいたり。
上高根沢では,道路掃除を大勢でやっていた。地元の自治会のボランティアだね。ぼくもたまにかり出される。
● 県道石末真岡線を順調に走り(何と言っても,この時間帯,車があまり走っていないのでね),芳賀町に入った。
「としのや」という昔はよろずやだったと思われるお店のところを左折する。まもなく五行川の金井橋に至る。ここからサイクリングロードに入る。
サイクリングロードじたいは,もっと上流の一切行橋から始まるんだけど,舗装状態があまりよろしくない。金井橋から入るのがいいと思う。
金井橋からサイクリングロードに入る |
● ロードバイクで上流側に向けて疾走するライダーがいた。レーパンで決めている。あっという間に背中が小さくなった。
こういう人を見ると,凄いなぁと思う。ぼくなんか,半袖のTシャツに短パン,サンダル履きだからね。
ぼくがやろうとしているのは,距離の長いポタリングだ。
● 私家版「ツール・ド・栃木」を敢行するにあたって,ひとつだけ自分に言い聞かせようと思っているのは,急ぐなってことだ。少なくとも,急ぎ過ぎないこと。距離を稼ぐだけが能じゃないぞ,と。
ぼくの体力ではスピードは出せない。その分,できるだけ乗り続けて少しでも遠くまで行きたいなんぞと思いがちだ。放っておくとそうなる。
だから,効率よく近道を通ってなどとさもしいことを考えないように,言い聞かせておく必要があるのだ。
● 「道の駅はが」で最初の休憩。フリーマーケットっぽい業者の展示即売会のようなものが開かれていた。まだ,準備中といったところ。
自販機で麦茶を買って,水分補給。昼に向かって本格的に暑くなれば,自販機を見かけるたびに自転車を止めて,何か飲むことになるだろう。
道の駅はが |
● サイクリングロードも真岡市に入った。両国橋から五行川を離れることにする。真岡にはちょっと入っただけなんだけど,益子方面にハンドルを向けた。
細い道を入っていく。生活道路というか農道というか。車の通行量が少ない道路のほうが楽に走れる。
そうした道はまた,自転車だからこそ走る気になる。車を運転しているんだったら,センターラインが引かれている道路のほうがいい。
しばらく走ると県道に出る。が,また細い道に入っていく。それをやっているとたいてい遠回りになるんだけど,急がないとはそういうことだ。
古墳? ではないんだろうなぁ |
● 方向感覚があまりいいほうではないので(ありていにいうと,かなり悪いので),そのうちに現在地がどこなのか不安になってくる。
“MyTracks”でログをとっているので,スマホを取りだせばすむ話ではある。が,それが面倒なんだよね。おおよその方向は間違っていないはずだから,このまま行けってことになる。
● やっと益子町に入った。塙地区。ファミリーマートがあったので,ここで休憩。
朝食を食べていなかったので,納豆巻きをひとつ買って腹に入れた。あと,ペットボトルのお茶とガリガリ君(コーヒーオレ)で身体を冷やすことにする。
● 少し走ると真岡鐵道の益子駅に至る。ここでまた休憩した。
益子といえば何をおいても陶芸の里だ。濱田庄司である。陶芸美術館もある。が,ぼくは美術というものと相性が悪い。絵画であれ彫刻であれ陶磁器であれ,モノに化体された美というものがわからない。
ちょっと距離はあるけれども,大羽地区まで足をのばせば,綱神社や地蔵院がある。綱神社は小体だけれども,姿のいい神社だ。つまり,すでに見たことがあるわけで,今回はこちらもパス。
益子駅 |
● 行ってみたいラーメン屋もあった。包丁を使わないで麺を打ちだすという店で,味はといえば只今のラーメン界の流行からは外れているかもしれない。
が,ホッとする味で,ぼくは気に入っている。飽きない味といいますか。でも,まだ9時だ。さすがに開いていない。
● というわけで,このまま市貝町に向かうことにする。
小貝川の堤防を走る。とても快適に走れるけれども,川っていうのはどの川でもだいたい似たような風景になるわけで,その意味では面白みに欠けるかもしれない。
ただ,川にはそれそのものの魅力があるでしょ。じっと川を見ていると,何時間でも見てられるような。
● 小貝川は那須烏山市曲畑の小貝ヶ池を水源とし,茨城県筑西市で五行川を併呑し,鬼怒川に合流し,ついには利根川となって太平洋に注ぐ,栃木県を代表する大河である(ウソ)。
一度,上流端から鬼怒川との合流点まで走破してみたいと思っているんだけど,まだ果たしていない。老後の楽しみのひとつだ。
● 大河の堤防を走って七井の宿に着く。ここからは県道黒田市塙真岡線を起点の黒田まで北上する。市塙まではほぼ真岡鐵道に沿うことになる。
市貝町に入って最初の宿は多田羅というところ。SL展望台なるものがあった。真岡鐵道が走らせているSLを見るためのものだということはわかるんだけど,長らく使われた形跡はないように思われた。
● 展望台を過ぎると,まもなく県道は左にカーブし,真岡鐵道は右に消えていく。ここからまた大河の堤防を走る。ちょっとだけ走ると県道に合流。あとは県道をひたすら行く。
ここでは横道に逸れてみるという選択肢はない。ほぼ一本道だから。
SL展望台から真岡鐵道の線路を眺める |
● 市貝町役場を過ぎてると,立派な道路を横切る。県道宇都宮茂木線のバイパスだ。スピードを出したくなる道路だ。
芳賀秩父観音霊場ってなに? |
誰が考えたってわかる道理だけれども,わかっていてもなお道路は欲しい。その気持ちは田舎人としてぼくにも理解できるものだ。
地元の商店だけで用を足せと言われたって,無理な相談だもん。勉強のできる中学生は宇都宮の進学校に行きたいだろうし,病院だって地元ですむかといったらなかなか難しいだろう。何といっても,働く場を求める必要があるんだから。
公共交通機関は1日数往復のバスだけなんだから,車は生活必需品だ。
● 杉山,続谷といった集落を眺めて,ただ走る。ほぼ,市貝町を縦断したことになるだろうか。
続谷にあった自販機でコーラを飲んだ。つり銭の返却レバーの下のくぼみでアマガエルが休んでいた。朝は涼しかったんだけど,だいぶ暑くなってきている。そこは涼しいのだろうな。
● さて,県道黒田市塙真岡線の起点に着いた。ここで国道294号に合流する。ここからは294号を那須町伊王野まで走ることにしているんだけど,とりあえず,ここは茂木町黒田である。
茂木町の市街に出るには右折して南下しなければならない。どうする? どうするっていったって,左に曲がって烏山に向かうことに決めていた。
茂木にも走ってみたいところはあるけれども,それは「ツール・ド・栃木」とは別に機会を設けることにしたい。