2015年8月17日月曜日

2015.08.09 私家版「ツール・ド・栃木」 4 那珂川(小川)~大田原(湯津上・黒羽)

● というわけで,那須官衙遺跡(国指定の遺跡である)は気がすんだ。が,この地はなにか立ち去りがたくさせるものがある。このまま294号に戻る気にはならなかった。
 奈良でいえば飛鳥のようなものか(行ったことはないんだけど)。穏やかな山並み(というか丘陵)に囲まれて,右手に箒川が流れる。南北に狭く,東西に長い平地だ。

● 先に走ってみることにする。大日堂があった。覗いてみる。覗いたところで,自分に何かがわかるとは思っていない。ここにとどまる理由が欲しかっただけだ。
 いわくありげな堂宇が3つ並んでいた。杉の大木が周りを囲んでいる。杉はだいぶ切られてしまったのだろうけどね。
大日堂



● いつまでもとどまっているわけにもいかないので,浄法寺橋で箒川を越えた。箒川を越えれば,そこは大田原市(旧湯津上村)ということになる。ここから笠石神社に出た。
 出るには出たんだけれども,ここはいったん294号に戻ってから笠石神社をめざしたほうがよかったようだ。山越えを余儀なくされたのでね。湯津上中学校まで登っていったん降り,もう一度登って降る(ほかの道もあったんだろうけど)。
 そろそろバテてきたんだろうか,けっこうシンドかった。

● さて,笠石神社。先の那須国造碑をご神体としている。頼めば本物を拝観できるらしかったが,それはパス。たぶん,ぼくがそれを観ても猫に小判を与えるようなものだろうから。
 こぶりな神社だ。神韻渺々たるという雰囲気はない。住宅地にある変哲のない神社という印象。294号沿いにあるわけだし。
 だけれども,ご神体がご神体だから,興味のある人たちがけっこう訪ねてくるのかもしれない。社務所もあった。
笠石神社

● 294号をずっと走ってくれば,上侍塚古墳,下侍塚古墳という有名な古墳にも立ち寄れたのだが,これは最初から行かない予定だった。
 古墳は素人が見てもただの大きめの築山以上には見えないだろうからね。

● さらに北に向かう。次の目的地は黒羽だ。
 崖の上の縁に294号があり,ぼくはそこを走っている。崖の下は水田になっていて,那珂川が流れている。その向こうに八溝山地の稜線が幾重にも連なっている。
 八溝山地だから急峻で高い山ではない。穏やかだ。そういうところを走る。

那須国造碑の碑文
● 黒羽の市街に入った。294号は那珂川の右岸側を走るが,黒羽の市街は那珂川の両岸にまたがる。
 ファミリーマートで水を買って飲んだ。ガリガリ君スイカも。セブンイレブン以外のコンビニにガリガリ君スイカがあったのは,今回が初めて。どうでもいいことではあるんだけど,ぼくはこれが好きなもので。

● 那珂川を渡って大雄寺に行ってみた。曹洞宗の道場であり,この地を治めた大関氏歴代の墓所がある。墓所はさすがに一等地にあった。
 本丸というか,道場の門を潜るのは憚られる。ぼくがヒョイヒョイと入ってはいけないところのような気がした。ので,外から見るだけにしておく。
大雄寺山門前

● 今日はここまで走ってきたけれど,まだまだ走れるような気がする。が,ここで泊まることにしよう。
 当然,宿の予約などはしていない。途中,何が起こるかわからないからだ。そもそも那珂川町で泊まる予定だったわけだし。文字どおり,予定は未定だ。

● 適当な民宿はないかと思って,市街地を走ってみた。大雄寺の存在が大きいのかもしれないけれど,黒羽はただ者ではないと思えた。歴史の厚みのようなものを宿しているというか。
 もちろん,明治以後,この辺の中心地は西にずれた。時代に取り残された。あるいは当時のここの住民が時代を西に押しやってしまった。
 ではあっても,何かが蓄積している。そういう凄みがある。ように思われた。

● で,宿である。「花月」以外には見つけることができなかった。「花月」はぼくが泊まるホテルじゃないと思う。
 で,ネットで「ペンション泉」というのを見つけて電話したら,今からだと夕食は出せないけれども,泊まることはできるとのことだった。やれやれ,野宿しなくてすんだ。

● スマホの地図で場所を確認して,自転車を走らせたけれども,ここでもしなくてもすむ峠越えをしてしまった。どっちから行っても距離はたいして変わらないようだったので,ではこちらからと思ったのが,山越えを伴うものだったんですな。

● 夕食が出ないというので,再びファミリーマートに寄って,酒と肴を購入。昼食を二度食べているので,腹はあまり空いていない。それだけで充分だ。
 高校生が団体で泊まっていた。ここで合宿しているのかもしれない。

● それでも部屋には冷房が効いているし,ぼくにはそれで充分だった。
 今日はずいぶん走ったように思える。のだが。“My Tracks”によると,トータルで107㎞にしかなっていなかった。ぼくの距離感は大幅な修正が必要なようだ。