終点は下館になる。下館で五行川と小貝川が合流するのだけれども,この合流点が終点なのだろうと思う。で,その終点まで行ってみよう,と。
● ケータイと小銭入れ,玄関の鍵を半ズボンのポケットに入れて,サンダル履きで出かけた。自転車に乗るときはいつでもサンダルだ。もちろん,踵を押さえるヒモが付いている。
雨にでも降られたら,防水機能のないぼくのケータイはおシャカになるかもしれないけれど,雨は降らないと勝手に決めた。
● 暑かったねぇ。初めて往路で「道の駅はが」で休憩した。朝から満足に食べていなかったので(コンビニおにぎり2個のみ),ここで栄養補給。
自動販売機で不二家ネクターを2本。糖分補給にはこれが一番だと思っている。もちろん,ピーチですね(最近,マンゴーが出たはずだけど,とんと見かけないですな)。サントリーの「Gokuri」にもピーチがあるんだけれども,やっぱり昔からある不二家ネクターの甘みが何ともいい。
人間の体は正直なもので,この程度のものでも糖分を補給してやると,エネルギーに変換されるのがわかる。人間の体って機械なのだと思った。
● 紫陽花が見頃になっているし,曼珠沙華をけっこう見かける。
● 大前神社を過ぎると,未走区間に入る。この辺を昼休みに散歩しながら,いつか休暇を取って,この下流を行けるところまで歩いてみたいと思っていた。どんな風景があるのだろうと思った。今回,その淡い願望を果たすことができる。
芳賀日赤を右に見て(五行川は真岡,二宮では市街地の東を流れている。河岸段丘の上に街がある),北関東自動車道の下を潜ると,旧二宮町に入る。周囲は田んぼ。あとは調整池とポツンポツンと事業所が現れる。
● 二宮のどの辺を走っているのかわからなくなった頃,見覚えのある山門が見えてきた。長栄寺の山門である。残念ながら山門以外の伽藍は消滅してしまっている。
桜並木がある。五行川さくら堤と名標が立っていた。
長栄寺山門 |
途中からサイクリングロードに車が通るようになった。車が違法進入しているのではなく,サイクリングロードじゃなくなっているのだ。サイクリングロードの終点を過ぎていたのだろう。しかし,五行川の堤防ではある。
さらに進むと,行き止まりの標識があって,もはや叢になってて,進むことはできない。小貝川との合流点には達していない。対面には市立中央図書館があった。
● 茨城県に入ってしばらくすると,川の名前が「ごんぎょうがわ」になる。勤行の字を充てる。
とまれ,来てみたかったところに来た。来てみれば普通に普通なところだ。
あとは帰るしかない。脳内でああでもあるかこうでもあるかと想像を逞しくしている方が,実際に来て見て知ってしまうよりずっと幸せだってことはない。来てみるべきだ。
が,百聞は一見にしかず,百見は一想にしかず,というのもまた,一片の真理を含むかなと思った。
茨城県に入ると,五行川は勤行川と名を変える |
が,行き止まりの標識があったところのはるか手前だから,まちがいなくサイクリングロードの全線を走破したと思う。
● 案内板によれば,サイクリングロードの総延長は28キロとある。ちょうど,このあたりは百メートルごとにラインを引いてあり,それが千メートルまで続いている。その区間はあっという間に通り過ぎた。
これを28回繰り返せば,一切行橋に至るのか。とても信じられない。
● 雨が降ってきた。幸い,すぐにあがったので,半ズボンのポケットに入れたケータイに影響はなかったのだが,しばらく北上すると,路面に水たまりができていた。わずかな距離の違いなのだけど,この辺はだいぶ降られたらしい。
もし,引き返すことなく帰途についていたら,ケータイが壊れてしまったかもしれない。ラッキーだったといえるだろう。
● 二宮地内だったが,沿線に小振りな神社があった。復路,休憩をかねて立ち寄った。お社の縁側に腰をおろしてしばらく休んだ。日陰になる。
何の実だろうか,はぜて次々に落ちてくる。地元の人たちが世話をしている社で,ぼくはよそ者ってことになるんだろうけど,けっこう居心地がいいのだった。神社の気が濃い。
● 真岡の市街地が見えてくるとホッとした。半分帰ってきたような気分になった。実際の距離は「下館~真岡」よりも,「真岡~高根沢」の方がずっと長いと思えるのだが。
最初に目に入るのは芳賀日赤の赤い十字マークだ。何度かお世話になったビジネスホテル「エンドレス」の看板が見えてくる。反対側には市民会館や体育館の建物が近づいてくる。やれやれと思う。
● 帰りも「道の駅はが」で大休止。また不二家ネクターを飲んだ。
辛いのは,サイクリングロードが終わって,一般道に出てからだ。ここから家までの道のりが長い。たいてい暗くなっているので,自動車がライトをつけているんだけれど,そのライトのためにこちらの視界が消されることがしばしばある。これ,ちょっと怖い。
でも,黙々と走るしかない。この日も黙々と走ることができた。
● この下館行きで自転車に乗る体に大きく近づけたかもしれない。最後の走りがちゃんとできるようになってきたかなと思う。まだ4回目でしかないのだけれど。
帰宅したのは20時をちょっと過ぎていた。たぶん百キロは走ったのだと思う(→サイクルコンピュータなどは付けていない。体感で百キロと思ったのだが,百キロまではなかったと思う)。ぼくの翼で百キロは飛ぶことができるって,何だか嬉しい。
● でも,歩いたって,1日50キロは何とかなるのじゃないかと思っている(クタクタになるだろうけど)。とすれば,最低でもその4倍,2百キロは移動できないと,自転車を活かしているとはいえない。でも,2百キロ走れるかというと,ちょっと自信がない。
● 下館まで走れたことで,通勤は可能との感触は得られた。真岡まで走ればいいんだから,楽勝じゃん,と。今回の下館行きがその意味では自信になった。
リュックを背負っていなかったのも大きいかもしれない。